私たちの居住や生存を立ちゆかせている基盤や支持体と共に考えれば、都市はどうとらえ直されるだろうか。本号では都市や居住の根底を再考する視角として〈領域〉の歴史というテーマを提示したい。/ ここでいう〈領域〉とは、都市を載せている地面の広がり、その下にある地層の重なり、そして、地面の上に展開する人文的様相としての土地、さらには、社会、建物、建築、都市を含む諸集落のすべてが、互いに深い関係のもと意味あるひとつのまとまりをなして存在する、そうした全体像のことである。/ その〈領域〉の歴史で対象化されることはもはや都市の内部だけに留まってはおらず、農地やあるいは湿地などの荒蕪地、山や流域、またそれらの個性を形づくる地形や地質などまでが、都市に接続する諸関係のなかではっきりと意識化される。つまり領域史の視角では、一見都市や居住の埒外にあるように思える広大なものごとが、実は居住に深く続きこれを底から支