<戦後空間>
私たちは、「戦後」の都市や建築における実際の建設活動、計画、それらに関わる政策、法制度、出来事、生活体験、文化、言説等の諸事象が互いに緊密に結ばれてかたちを為すある領域の総体を、〈戦後空間〉と名付けました。
この〈戦後空間〉には、いかなる論点の幅や射程があるのか。わたしたちの1年間の議論からここにその端緒を示します。それは、新体制における規範とその実 現、民主主義の空間的 “翻訳”、長い開発主義、「戦後」の両義的文脈、戦後的価値の不定形さ−−−。無論ここには、「戦後」それ自体のアジア的・世界的相対化も含まれていま す。「戦後」とはあくまで未定立な“終わり”であり、〈戦後空間〉とは、不定形な対象の言語化と思念化、歴史の可能態の検証の契機です。
さて、大きくは断絶と刷新によって構成されるこの〈戦後空間〉の特質は、戦後の建築・都市計画に、常に両義的な文脈を投じていました。そしてこの特異な 文脈は、戦後日本の、政治、制度、言説、芸術、文化、生活などのあらゆる領野に浸潤し、空間化されていたとわたしたちは想像しています。
〈戦後空間〉のありかをわたしたちは今後連続シンポジウムやトークイベントによって探り、考えていきます。
WGメンバー(2017.11時点)
青井哲人(幹事)、伊藤毅、内田祥士、ケン=タダシ=オオシマ、後藤治、中島直人、中谷礼仁、松田法子(主査)+市川紘司、岸佑、佐藤美弥、石榑督和ほか
戦後空間シンポジウム01
民衆・伝統・運動体
− 1950年代/建築と文学/日本とアメリカ
主催:日本建築学会 建築歴史・意匠委員会
日時:2017年12月16日(土)13:30~18:00
会場:建築会館ギャラリー(東京都港区芝5-26-20 建築会館1階)
<プログラム>
主旨説明 青井哲人(建築史/明治大学/1970-)
講演1 文化運動のなかの民衆と伝統
鳥羽耕史(日本近代文学・戦後文化運動/早稲田大学/1968-)
講演2 日本とアメリカの建築的交流:「民衆」と「伝統」をめぐる文脈の輻輳
ケン=タダシ=オオシマ(建築の歴史・理論・表象/ワシントン大学/1965-)
Architectural Exchange between Japan and the United States: Intertwined Perspectives of 'People' and 'Tradition'
Ken Tadashi Oshima(Architectural History, Theory and Representation/Japan Studies Program, University of Washington/1965-)
コメント 日埜直彦(建築家/1971-)
討議
参 加 費:会員1,500円、会員外2,000円、学生1,000円(資料代含む,当日会場でお支払いください)
定 員:60名(申し込み先着順)
申込方法:下記ULRよりWeb 申し込み
https://www.aij.or.jp/event/detail.html?productId=610559
問 合 せ:日本建築学会事務局 事業グループ 一ノ瀬 TEL:03-3456-2051 E-mail:ichinose@aij.or.jp