戦後空間WGの第5回目のシンポジウムでもある本公開委員会では、戦後日本と東~東南アジアの関係性に目を向ける。
1952年に発効されたサンフランシスコ講和条約により日本国はその独立を回復するとともに、東西冷戦構造のなかで周辺諸国との関係性を新たに構築していくことになった。
建築や土木に注目したとき、浮かび上がってくるのは3つの政策的キイワードである。
ひとつめは、先の大戦で侵攻した諸地域に対しておこなわれた「戦争賠償」。
ふたつめは、開発途上国への経済協力としての「政府開発援助(ODA)」。
そしてみっつめが、本土復帰した沖縄に対する格差是正政策としての「沖縄振興開発計画」である。
賠償し、援助し、振興すること。
独立後の日本はこれらのアクションを端緒とすることで、アジアの国際秩序の一端を担いながらその「戦後空間」を構成していった。
政治学からの報告も迎えながら、建築や土木が実質的に担った役割や戦前からの連続と断絶などを検証する。〔市川紘司〕
日時:2020年10月17日(土)15:00 - 18:30
場所:YouTube Live
プログラム:
1. 開会挨拶(戦後空間WGについて) 松田法子(京都府立大学)
2. 開催趣旨 市川紘司(司会/東北大学)
3. 報告(1) 「アジア国際秩序と戦後日本」宮城大蔵(上智大学)(2) 「出稼ぎトンネル坑夫集団「豊後土工」と戦後賠償・開発援助 ──再編される日本植民地開発の経験と人脈」谷川竜一(金沢大学)(3) 「解放後の韓国における日本建築の遺産(The Legacy of Japanese Architecture in Post-liberation Korea)」曺賢禎(韓国科学技術院)(4) 「沖縄の本土復帰と振興開発」小倉暢之(琉球大学)
4. コメント
尾島俊雄(早稲田大学名誉教授)
5. 質疑応答
レビュワー:林憲吾(東京大学)
6. 総括:市川紘司
主催:日本建築学会 建築歴史・意匠委員会 戦後空間WG
参加費・参加方法:無料・事前登録制
https://medium.com/%E6%88%A6%E5%BE%8C%E7%A9%BA%E9%96%93wg